【完】そばにいるだけで



わたしは深呼吸してから、昨日の城山さんとのやり取りを知らない瑞希に、事情を説明した。



そして、屋上で桐生くんに言われた言葉も。



「そっか……」



そう言って瑞希は黙ってしまった。



「わたしがいけないんだよね。一瞬でも昴先輩に甘えてしまったから」



「う~ん。だけど、別に聖菜から先輩に甘えに行ったわけじゃないんだしさ。ちゃんと話せば桐生くん、わかってくれるんじゃないのかなぁ」



「だけど……わたし、あの時、桐生くんのことで悩んでたんだよ?」



わたしがそう言うと、瑞希は腕を組んでう~ん、とうなった。



そして。


< 131 / 207 >

この作品をシェア

pagetop