【完】そばにいるだけで
「あのさぁ。桐生くん、『僕には甘えられなかった?』って言ったんでしょ?」
「……うん」
「桐生くんは、多分、もっと聖菜に素でいてほしいっていうか、思ったこと、どんどん言ってもらいたいんじゃないのかなぁ。聖菜って、すぐ相手の様子うかがっちゃうじゃない?」
そう言われて、わたしはうなずくしかなかった。
だって、相手に嫌な思い、させたくないし。
それで嫌われたくないし。
「もっとわがまま言ってもいいのかもよ」
瑞希にそう言われて、わたしにはそれが難しい、と思った。