【完】そばにいるだけで



その時、愛莉が扉をノックした。



「入ってもいい?」



という言葉と同時に入ってきたので、わたしは慌てて涙を拭いた。



わたしの泣き顔を見てしまった愛莉は、



「あ、ごめん」



と、少し気まずそうな顔をしたので、わたしはとっさに平静を装って、



「なに?」



と尋ねた。



「最近、聖菜元気ないから、偵察してきてって、お母さんに頼まれた」



それを聞いて、お母さんにまで心配かけていたんだ、と思った。



いつもご飯を全部食べる子が、半分しか食べなかったら、心配になるよね。



思わず苦笑してしまった。


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