【完】そばにいるだけで
「あんた、えらいね」
わたしがそう言うと、愛莉は、
「やっぱり恋の悩みだったんだ」
と言って、にやりと笑った。
「お母さんに報告してこよ~っと」
「ちょっと!」
わたしの呼びとめる声など無視して、愛莉は階段を降りながら「おかぁさ~ん」と叫んでいる。
わたしは慌てて部屋から飛び出すと、階下から、
「お姉ちゃん、恋煩いだってぇ」
という楽しそうな愛莉の声が聞こえてきたので、わたしはがっくりと肩を落とした。