【完】そばにいるだけで



「あんた、えらいね」



わたしがそう言うと、愛莉は、



「やっぱり恋の悩みだったんだ」



と言って、にやりと笑った。



「お母さんに報告してこよ~っと」



「ちょっと!」



わたしの呼びとめる声など無視して、愛莉は階段を降りながら「おかぁさ~ん」と叫んでいる。



わたしは慌てて部屋から飛び出すと、階下から、



「お姉ちゃん、恋煩いだってぇ」



という楽しそうな愛莉の声が聞こえてきたので、わたしはがっくりと肩を落とした。





< 139 / 207 >

この作品をシェア

pagetop