【完】そばにいるだけで
路地裏の喫茶店でケーキセットを食べた後、裏通りを歩いていると、大人のカップルが少し前を歩いていた。
銀髪の男性とロングヘアの女性。
そして、そのカップルはさらに細い路地へ曲がった。
その路地には、風俗店やラブホテルが立ち並んでいるのを知っていたので、わたしはとたんに恥ずかしくなった。
そして、桐生くんの方を見られなかった。
ちらりとその路地をのぞき見ると、さっきの大人カップルがある建物の中に入ろうとしていた。
そして、女の人の横顔が見えたとたん、わたしは思わず「あっ、」と、声を漏らしてしまった。