【完】そばにいるだけで
「あのさ……桐生くんも、あの妊娠検査薬、あたしのかも、とか思ってる?」
「さあ」
「興味なしか」
そう言うと、三郷さんは苦笑しているようだった。
「相変わらずだね、そのクールな感じ。中学ん時から全然変わってない」
……え?
ちょっと待って。
どうして桐生くんのこと、中学時代から知ってるの?
胸がズキンと痛んだ。
その時、体のバランスを少し崩してしまったわたしは、小さな足音を立ててしまった。
まずい!
わたしは、慌ててその場を離れた。