【完】そばにいるだけで




「なるほどねぇ」



わたしの話を聞いて瑞希はしみじみ言った。



「三郷さんと桐生くんって、中学違うはずだもんね」



「そう。それに、なんで無線室に二人きりでいたのかもわかんない」



「桐生君と聖菜の秘密の部屋だもんね」



「秘密の部屋って……」



その響きに一瞬、淫(みだ)らなことを想像してしまい、すばやく妄想を打ち消した。



そんなことはともかく、わたしと桐生くんの穏やかな空間に、三郷さんと桐生くんが二人きりでいたことが不快だった。



「桐生くんがあの部屋に三郷さんを誘ったのかなぁ」


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