【完】そばにいるだけで
「なんか信じられないな。梅原さんが援交だとか、妊娠だとか」
だって、彼女はとても静かで、わたしと同じような地味子ちゃんなのに。
援交だとか妊娠だとか、無縁そうな子なのに。
「でも、今回のは信憑性(しんぴょうせい)ありそうだね。実際、退学しちゃったんだし」
「うん……」
うなずきながら、わたしは桐生くんと三郷さんのことを考えていた。
仮に、梅原さんの妊娠が事実だったとしても、わたしの重要な問題は何も解決していない。
わたしにとって大切なのは、誰が妊娠しているかではなくて、桐生くんと三郷さんがいったいどういう関係か、ということなのだから。