【完】そばにいるだけで
「うそ!?」
わたしは驚きのあまり、思わず口に手を当てた。
「別に、横取りしたとか、そんなんじゃないんだよ?あたしだって、梅原さんとつき合ってたなんて、知らなかったしさ」
梅原さんは、三郷さんの彼のバンドの追っかけをしていたらしい。
それがきっかけでつき合うようになったらしいんだけど、嫉妬深い梅原さんに嫌気がさして彼が振ったそうだ。
「あの妊娠検査薬は、あたしへの復讐とあてつけなのよ」
三郷さんは窓の外へ視線をやったまま、静かに言った。
「復讐とあてつけ?」