【完】そばにいるだけで
「そう。大好きだった彼を奪ったあたしへの復讐と、自分は幸せをつかんだのよ、っていうあてつけ」
「え?どういうこと?幸せをつかんだって。梅原さん、援交相手の子どもを妊娠したって……」
すると、三郷さんは、はぁと呆れたため息をついた。
「サラリーマンと並んで歩いてたら、援交ってことになるみたいね。梅原さんの彼氏、10歳年上なんだってさ。お腹にいるのはその人との子どもらしいよ」
「そうだったんだぁ」
思いもよらなかった事実に、わたしはただただ呆気にとられた。
そして、この話題が16歳のわたしにはあまりにも大人すぎて、別世界の出来事のように思えた。
まさか、こんな身近なところで、同い年の子たちがこんな恋をしていたなんて。