【完】そばにいるだけで
「でも梅原さん、本当はまだ、元彼が忘れられないんだと思う。本当に今が幸せなら、過去の男のことなんて、どうだっていいはずだもの」
鋭い。
たしかにそうだ。
幸せなら、そんなつまらないことはしない。
「なんか、ちょっと心配かも。梅原さん」
わたしが何気なくそう言うと、三郷さんはこちらに向き直り。
「そういうかわいらしいところが、桐生くんも好きなんだろうね」
なんてことを突然言い出すので、わたしはおどおどしたのと同時に、一瞬胸がずきんとした。
「あのさ」
わたしはうつむいたまま切り出した。