【完】そばにいるだけで
「そう。あの時、あたし、桐生くんに頼んだの。あたしの気持ち、友だちに伝えてくれない?って。でもね、断られちゃった」
三郷さんは、苦笑し。
「『そういうことは、自分で伝えた方がいい』って。クールに一言」
『相変わらずだね、そのクールな感じ。中学ん時から全然変わってない』
無線室での三郷さんの言葉が蘇る。
わたしは大きく息を吐いていた。
そういうことだったんだ。
「で、自分で告白して、あっけなく玉砕よ。あ~あ、はかない恋だったなぁ」
三郷さんは、あっけらかんと言った。
「だから。草壁さんが心配するようなことは、何にもないから安心してね」
そう言って、三郷さんはわたしにウインクした。