【完】そばにいるだけで
黙ったまま、観葉植物の葉を撫でている。
2人きりの狭い空間に、長い沈黙が訪れた。
桐生くんは、間違っていないと思う。
そもそもわたしが立ち聞きしなければ、不安にかられることもなかったわけだし。
実際、知らなきゃよかった、って思ったし。
だからきっと、知らなければ、それで済んでいった。
なのに、わたしは。
たまたま2人の会話を中途半端に聞いて知ってしまったから、もっと知りたいと思ってしまって。
桐生くんからあの時の話をしてくれないかな、って待ってただけで。
なんだか……