【完】そばにいるだけで
「……わたしって嫌な子」
「どうして?」
桐生くんはきょとんとした顔で首を傾げ、こちらを見ている。
わたしは、大きく深呼吸した。
「……ごめんなさい」
「ん?なにが?」
優しい声に、胸がずきんとする。
「わたし、聞いちゃったの。ここで、桐生くんと三郷さんが2人で話してたこと」
桐生くん、怒るかな。
鼓動が早くなる。
「三郷さん、前から桐生くんのことを知っているみたいな言い方したから、二人は何かあるのかな、って疑って……それからずっと、なんだか不安で」
わたしは桐生くんに嫌われるのではないかと不安でいっぱいで、目がしらが熱くなっていた。
すると。