【完】そばにいるだけで
「そ、そうだ。これね、バレンタインのチョコ」
わたしは、話をそらそうと、慌ててバッグからチョコの包みを取り出した。
「手作りだから、味の保障はないけどね……」
「作ってくれたの?ありがとう……あ、そうだ」
そう言うと、桐生くんもバッグから小さな包み紙を取り出した。
「これ」
「わたしに?」
「うん」
「開けてもいい?」
「大したものじゃないよ」
そっと、セロハンテープをはがして袋の中を見ると。
「あっ」