【完】そばにいるだけで
「大丈夫?」
あの日、一部始終を見ていた瑞希が心配そうにわたしの顔をのぞき込む。
「うん……。まあ、城山さんはいつものことだし……」
と言いつつ、液晶画面に映ったあの二人の『絵』は頭から離れない。
「桐生くんって、もてるんだね。今更だけど。写真の注文も入ってたもんね」
わたしが努めて明るく言うと、瑞希はますます心配そうな顔をした。
「だけど、どれだけの人が本当の桐生くんを知ってるんだろうね。桐生くん、無口だから何を考えているのかわから……あ、ごめん」
瑞希は言いすぎた、という顔をしてうつむいた。