【完】そばにいるだけで
その時。
目が合った。
まさか目が合うなんて思ってもみなかったから、とっさに目をそらせてしまった。
桐生くんがわたしを見てた。
わたしのこと、どう思ったんだろう。
突然雰囲気変えたりして、変な子って思ってないかな。
急激に自分の顔が赤くなるのがわかった。
「聖菜!」
突然名前を呼ばれて、赤くなったままの顔を上げると、目の前に瑞希が立っていた。
「一瞬誰だかわからなかったよ!すっごくいい感じ!」
瑞希はすっかり感激しているようで、わたしをじろじろと眺め回した。