【完】そばにいるだけで
「さあ、ここからだよ」
瑞希は少し真剣な顔をして、わたしを見つめた。
そしてわたしに顔を寄せ、声を潜めた。
「これだけかわいくなれたんだから、とにかく桐生くんの視界に入るようにしよう。で、チャンスがあれば、頑張って話しかける」
わたしは瑞希に少し圧倒されて、とりあえずうなずいた。
「まずは。今日から聖菜は昼休み、屋上ね」
「え?瑞希は?」
「わたしがいたら邪魔になるでしょ」
「う~ん……」
少し困惑したけれど、自分では他の方法を見つけることができなかったので、瑞希の言うとおりにすることにした。