【完】そばにいるだけで
次の日の昼休みも、わたしは屋上に行った。
桐生くんの真似をして、単行本も持っていった。
彼は昨日と同じ場所で、同じように本を読んでいたので、わたしもまた、昨日と同じようにしばらくはフェンスにしがみついていた。
だけど。
このままじゃ、ダメだ。
せめて、振り向かないと。
斜め後ろ45度の位置に桐生くんの気配を感じつつ、わたしは深呼吸をした。
せ~の!
……。
……やっぱり、無理。
一人うなだれて、ため息をついていた時。