【完】そばにいるだけで
わたしは彼女
あの日から、目に映るものすべてが色鮮やかになった気がする。
いつもの学校の風景も、何気ない街の景色も、そして満員電車さえも、きらきらしているように感じる。
「おはよう」
電車に乗ると、前の駅から乗っていた桐生くんが声をかけてきた。
「おはよ」
わたしは少しはにかみながら、彼を見上げた。
彼はそれに、ふんわりと微笑んで返す。
その微笑みに少し見とれていると、後ろで扉が締まった。
電車が走り出す。
その時、車内がぐらっと揺れた。