【完】そばにいるだけで
あの時。
彼女は桐生くんにキスをした直後、彼に置き去りにされたのだ。
桐生くんがわたしを追いかけたから。
だから、城山さんにとってわたしは目障り極まりない存在なのだろう。
わたしが一人でいる時にわたしを見る彼女の目は、明らかに恨みやら妬みやらが含まれている。
わたしの隣りに桐生くんがいるときは、そんな視線は向けないけれども。
幸せを手に入れると、こんなおまけまでついてくるのか、と正直戸惑った。