【完】そばにいるだけで

勝負服





学校の帰り、わたしの頭の中は土曜のデートのことでいっぱいだった。



何を着ていこう。



桐生くん、どういうのが好きなのかな。



手持ちの服を思い浮かべながら、頭の中でコーディネートしてみる。



ああでもない、こうでもないと脳内試着を繰り返していると、携帯が鳴った。



着信メールを確認してみると、



『明日の朝食のパン、買い忘れたから買ってきて』



というお母さんからの伝令だった。



急に現実に戻されたような気がした。


< 83 / 207 >

この作品をシェア

pagetop