【完】そばにいるだけで
勝負服
学校の帰り、わたしの頭の中は土曜のデートのことでいっぱいだった。
何を着ていこう。
桐生くん、どういうのが好きなのかな。
手持ちの服を思い浮かべながら、頭の中でコーディネートしてみる。
ああでもない、こうでもないと脳内試着を繰り返していると、携帯が鳴った。
着信メールを確認してみると、
『明日の朝食のパン、買い忘れたから買ってきて』
というお母さんからの伝令だった。
急に現実に戻されたような気がした。