【完】そばにいるだけで



「あれ?……草壁?」



という、聞き覚えのある声がした。



我に返り、はっと顔を上げると、目の前に思いも寄らない人がレジの中にいたので驚いた。



「昴(すばる)先輩!」



「ああ、やっぱり草壁だ」



そう言うと昴先輩は、屈託なく笑った。



「雰囲気ずいぶん変わったから、わかんなかったよ」



「え?あ、はい……」



イメチェンしましたので……。



「なんかいいことあったの?嬉しそうな顔してたよ。……あ、210円になります」



そう言われて一気に赤面した。



妄想してにやにやしてたなんて、恥ずかしすぎる!


< 85 / 207 >

この作品をシェア

pagetop