【完】そばにいるだけで
高校生活が始まった当初の席順は出席番号順だったので、桐生くんはわたしの前だった。
大きな背中が目の前にあるだけで、ドキドキする。
視界を遮られ黒板の字が見えづらくても、ちっとも不愉快ではなかった。
プリントを後ろへ回す時、彼が少し振り返るのが嬉しくてたまらなかった。
先生、100枚くらいプリント回してくれたらいいのに、なんてことを思ったりした。
桐生くんの登場で、わたしの心にピンク色の花園ができた。
学校へ行くのが楽しみで仕方がなかった。