お嬢っ!!
あのお嬢ちゃん達が集まるくらいだから、どっかの王子でも来たのかもしれない。
ま、私には関係ないけどね。興味ないしー。
それよりアレを探さなきゃ。
正門に向かいながら、どうやって探そうか考えた。
人だかりを無視して正門を出ようとしたら――――
「おい」
誰かに呼び止められた。
その声は、人だかりの中から聞こえた。――――しかも男の声。
こ、この声はどこかで聞いたような…。いやいや違うよね。うん、絶対違う!
もー私ったら勘違い☆
何度も言い聞かせて、自分を納得させる。
アヤツがここに居るわけがない。
そうよリコ、貴方は空耳を聞いただけよ。
無視して再び正門から出ようとすると…。
「なーに、無視しちゃってるのかな〜お嬢ちゃん。」
はい。明らかにこの声は昨日のお色気ボーイですね、はい。
急に冷や汗がタラ〜っと背中を伝う。もう尋常じゃないほどに。
どうしよう……
とてつもなく逃げたい。
ここからダッシュして、日本を出たいくらい。
それに、何こいつ。
めっちゃ腕掴んでるんですけど。痛いんですけどー。
仕方ない、しらをきるか。
「どなたかと勘違いされてますわ。私、貴方とお会いしたことありませんもの」
「おいおいなんだぁ、その喋り方はよ〜。昨日と違うじゃねーのよ〜」
「人違いですわ」
「いーや、絶対お前」
ちっ、しつこいなコイツ。
思わず舌打ちしちゃったよ