お嬢っ!!
くそ、こんな人だかりの中でバレる訳にはいかないしな。
ざわざわとお嬢様達が騒ぎだす
「リコ様、この方とお知り合いなのかしら」
「え、でもリコ様は人違いだと…」
「でも、この方が知ってると言うならお知り合いですわ!きっと!」
「まあ!貴方、リコ様のお言葉を信じないとでも言うの!?」
ちょいちょい君たち何、喧嘩始めちゃってるのー!!
待て、どうしたらそうなるわけ!
あーもうっ!
めんどくさい!
「とりあえず、こちらでお話しましょう。」
「……」
ありったけの笑みを向ける。
ほ〜無言できましたか。
まあ、いいや
それより早くこの場を回避しなければ。
男からは凄い視線を感じるけど、この際無視無視。
今度は私が男の腕を掴んで歩き出す。一刻もこの場から立ち去らなければ…。
男は何も言わず、ただジーッと私を見て足を進める。コイツの眼はどうも苦手。色気ありすぎ。
女の私より色気漂う男って……
神様はなんて不公平なのかしら。
………凄いぞ私、この場に及んでも考え事が出来るなんて。
もうブラボーだよ!!
こりゃ拍手喝采だっ!
どや顔満載だよ!!
妄想の中、ひたすら歩いて誰もいない校舎裏に着いた。
さてさて、どーしたものか。
最後まで演じるしかないなあ。
ファイトだ、リコ!!