お嬢っ!!
「申し訳ありません。やはり、人違いだと思いますわ。」
再び、極上スマイルを男におみまいする。
が、
「何だよその言葉使い。昨日と全然違うじゃねーのよ、とぼけても無駄だぜ“リ〜コちゃん”。」
はい、効きませんでしたー。
この男しぶとすぎる。
なかなかの強者だな……。
………………ん?
今コイツ、“リ〜コちゃん”って言わなかった……?
私コイツに名前教えた記憶なんてないんですケド!?
えっ…、まさかバレてる!?
でも絶対昨日、名前は言わなかったはずだし…。
んな訳ないないっ!
あり得ないって。
「コレはなにかなあ〜?」
男がひらひらと私の前にモノを見せる。
しかもニヤニヤ笑って、語尾に♪マークが付きそうな言い方するし。
それになんで、そんなに色気ムンムンなわけ?
アナタの親を見てみたいわ。
まだ、モノがひらひらと揺れる。揺れる。
揺れる、揺れ…………
って、うおぉぉぉおおおい!!!!!
君なに持っちゃってんの!?
なに揺らしてんの!!??
男が手に持ってたのは、私が昨日落とした…
生徒手帳だった