お嬢っ!!
―――――ということで、現在男のバイクの後ろに乗っているわけだが…。
この人(少し謙虚に)一体何者なんだろうか。
無駄に色気を放ってるのはわかったけど、いまいち分からん。でも雰囲気が…――
「そんなに見つめられたら照れるじゃねーのよ」
私の視線を背中越しから察しし、のんびりした口調で言い放つこの男。
うーん。
分からんなあ。
のんびりしてるくせに意外と鋭い。中々いないタイプだ。
「あ、ねぇアナタの名前は?」
そうだそうだ。
そういえば知らなかった。
「ん〜?さあな〜。」
「教えなさいよ」
「ヤダ」
この野郎…。
自分だけ教えないのは卑怯だ!
…………。
なんだかなあ。
お嬢様やってなかったら、こんな風に話したりしてたのかな……って最近よく思う。
小さい時は、家でひたすら勉強したり、習い事の先生が家に来たりして外へ出たり、ましてや友達と遊ぶこともなかった。
いつも一人だった
こんなに素をだして会話する相手が今、目の前にいるなんて私もビックリだ。
いつの間にか高校生になってしまった。
約束も早まった。
「……やっぱ、いいや」
うん、きっとこの兄ちゃんと関わる機会はこれで最後だ。名前を聞いても意味はないのだ。
私の人生はどうすることもできない。