お嬢っ!!
起き上がった男は本当にうるさそうに顔を歪め、頭をかきながらこっちを見る。
わーお。
こりゃまたイケメンだこと。
男は茶髪の無造作ヘアーでなんかヘアスタイルとか全く興味なさそうなのに妙にその髪型が似合っている。
なんか美形って感じだ。
「コイツ誰……?」
私に指を指しながら慎一郎さんに顔を向ける。
「おいおい。今日朝言っただろ?リコちゃんだよ。まったく…、人の話し聞いとけよ……日和(ひより)」
お、日和くんと言うのか。
「知るか。」
まったく話を聞いてなかったのか眉を寄せて慎一郎さんを見る日和くん。
かわいそうに…。
慎一郎さん。
これは大変だわ。
聞いてあげようよ日和くん。
「んで、何でこんなに騒がしーんだよ。てかお前らなに睨みあってんだよ。」
日和くんは未だに睨みあっている私達に視線を戻し、金髪と交互に見る。
そうだっ!
こっちの事を忘れてた。
私は金髪に向かって更に睨み付けて大声で言い放つ。
「あんたね、本当にデリカシーなさすぎるわっ!どっからどーみても女でしょうが!!それに私はれっきとした聖女の生徒よっ」
「仮に女だとしても、聖女の生徒はそんな風にデッケー声ださねーんだよ!」
「仮には余計よっ!仮には!この金髪ザル!!」
「あ゙あ゙ん?テメー調子こいてんじゃねーぞ!ぶん殴んぞ!!!」
「殴れるもんなら殴ってみなさいよっっ!!!」
ゔ〜と私たちは睨み合い、今にも殴り合いが起きそうな雰囲気だった。
「ふたりとも落ち着けって!」
慎一郎さんの必死の声が聞こえる。