お嬢っ!!
兄貴
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慎一郎さんを追いかけて、そのまま車で送ってもらった。
もちろん公園前で降ろしてもらったけど。
家の前まで送られたら近所にバレちゃうからね。
それと、連絡先を交換した。
連絡とれないと困るから、って言ってたけど多分私を逃げられないようにする只の口実だな。
ま、逃げませんけど。
絶対見つかると思うし。
「じゃあまた明日」
と、爽やかな笑顔を残して慎一郎さんは車と一緒に暗闇に消えていった。
………。
あー、なんか色々と疲れたなあ。
首をゴキゴキならしながら家へと足を進める。
体はもうバキバキだ。
こりゃあ老朽化してるな。
まあ、昨日といい今日も更に色々ありすぎたから、頭も体ももう疲れきっているし。
早くお風呂に入ろーっと。
涼しい風を感じながらゆっくりと歩く。
さあっ
お、いい風。
ふと、足を止める。
柔らかい風は公園全体に咲き誇っている桜を優しくなでる。
桜の木々たちは、何か私に伝えてくれているのだろうか。
これから起きることを。
桜を見つめながら、何故かそう思った。確信はないけど。
―――。
「……ふっ、んなわけないか。」
ありえない。
桜はしゃべらないもんね。
妄想もまだまだ健在だな。
苦笑しながらまた歩きだす。