お嬢っ!!
はぁ〜…。
思わずため息がこぼれてしまった。リコの事は心配だが俺も仕事が忙しいからあまり構ってやれない。
…まあ、いざとなったらアイツが手を貸すだろうから心配ないか。
「んじゃあ俺もそろそろ部屋に戻るわ」
「えっ!父さんを1人置いていくのか?!」
「なんで俺が親父の相手をしなきゃいけねーんだよ…、子供(がき)か!!!」
「ひ、ひどぃ」
なぁにがひどいだ!
お前はいくつだよっ!!
ったく、
仕事の時はこえーくせに、なんでこう変わるかね。
「んじゃな」
俺は手をヒラヒラと振り、いじけてる親父を置いて部屋を後にした。
高級じゅうたんが広がる長い廊下をゆっくり歩いていると、ふと窓から月が見えた。
――――満月か
妙に綺麗な月が俺には何故か不吉に思えた。
やはり俺の予感はあたりそうなのだろうか…。
何も起きなければいいのだが。
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