お嬢っ!!
俺から離れた千尋はふら〜と隼人の隣に行き、なにやら2人でコソコソ話していると思えば何故か爆笑し始めた。
「おいおい〜、白雪姫ってもうお笑いだろーよぉ」
「ケケケっ、ウケにいってんに決まってんだろうが」
……どうやら、リコちゃんに渡した着替えが何か隼人に教えてもらったらしい。まだ2人でケラケラと笑っている。
はあ…、アイツら
――それにしてもまだかな、リコちゃん…。
着替えに行ってからもう20分は経っている。
確かにあの服じゃ出にくいよな…。でも、いつまでもここに居るわけにもいかないし。
車に近づいてコンコンと軽くドアを叩く。
「リコちゃん、着替え終わったか?」
「あっ、は…はい…」
なんとも弱々しい声がドア越しに聞こえてきた。着替えは終えたらしい。
「出にくいと思うけど、そろそろ行こう」
そう俺が言うと、少しずつだかドアが開いた。すべてスモークがかかっている窓からはリコちゃんはまだ見えない。