お嬢っ!!
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慎一郎さんから出てきてと言われ、正直出たくないけど車のドアを少しずつ開けた。
とん、と地面に足をつけて俯きながら出てきた顔をあげる。
―――なんだ、コイツらの間抜け顔は?
顔をあげてみれば、隼人も千尋くんも慎一郎さんもポカーンと口を開けてただただ私をガン見している。
千尋くんなんかくわえてたタバコをぽろっと地面に落としてるし。
あれか、目にも耐えないってか?
はいはい、どうせ似合ってませんよ〜だ。
お前ら全員、口の中ボール投げ入れてやろうか?ストライクピッチャーみたいに投げたろか?
―――青い空の下、大きく振りかぶってボールを投げる。
ズドーン、と真っ直ぐに。
『ボール!』
「いやいや今のは絶対ストライクだよね?完璧だったよ?もうパーフェクトすぎて困るくらいだよ?!」
『ボール!!』
「おい、コラ。喧嘩売ってんのかああ!!!目ん玉ついてんのかああ!!!あれだよ、ダルビッシュ並みに豪速球だったよ?コントロール抜群だったよね?!ど真ん中だったよー!!」
しかし、断じてボールとしか言わない審判。
く、くっそう
どうしてもボールにしたいのか、コノヤロー!
「頑固者おお!!!!」
「リリリ、リコちゃん!落ち着け!!」
いつの間にか目の前に慎一郎さんがいて私をおさえていた。