お嬢っ!!
隼人と髪のむしり合いをしていたら、どうやらかなりの勢いでゴロゴロと転がりながら2人で移動していたらしい。
おかげで息切れするわ髪は乱れるわ、白雪姫の衣装なんて砂だらけで汚くなってしまった。
最悪極まりない。
ため息をこぼしながらパンパンと砂をはらっていると、いつの間にか居た千尋くんがタバコを吸いながら妖しい笑みを浮かべて近づいてきた。
相変わらず色気は健在のようで…。
「よ、オジョーちゃん、せっかく良い格好してて褒めてやろうと思ったのによ〜。とんだアクシデントだな、いや事件だな」
「ち、千尋くん、…だって隼人がさあ!!」
あれは致し方ないのだよ!!
だってあれはチョップしてきたアイツが悪い!!ましてや女の子にだよ!?ありえないっ!!
「まあまあ落ち着けってー、つか鼻息荒い」
「ふんっ」
絶対、許さないんだから!このリコ様を怒らせたら、ただじゃあ済まないぞ!
やっぱり髪むしればよかった!!
いつまでも拗ねていると、いきなり脇の下と膝の間に腕が伸びてきて私は宙に浮いた。
「これでもまだ暴れるか〜?」
――はい…?
――うん。よしよし、
リコちゃんよ落ち着け。
今なにが起きてるか落ち着いて考えようじゃないの。
千尋くんの腕が私の脇の下と膝の間にあって目の前には千尋くんの整った顔。しかも意地悪そうにニヤって笑っている。
――これは…。