お嬢っ!!
「デジャブっ!!」
なななななんだ!
これは!!
あれか!?
俗に言う“お姫様抱っこ”というヤツか!?
この私が千尋くんにお姫様抱っこをされている!?
「むむむむ、無理!!降ろしてくれー!!」
こんなの居たたまれない!
かつてこの17年間、こんな恥ずかしいことをさせられたことは一度もない。須崎さんにもされたことないのに!
「いってーなあ、あんまり暴れるんじゃねーよ〜。」
「暴れたくもなるわっ!!お願いだから降ろして!」
「えー、ヤダ」
またかっ!
っていうかそんな可愛く頬を膨らまさないでくれよ。そして色っぽい目しないでー、直視できないんだってば。
でも真面目にずっとこの体勢は本当に無理!!
「んー!」
「いい加減諦めろよ〜、じゃないとあんなこととかこんなこととかするぞー。いいのかあ?明日立てなくなっても――」
「ややや、やめて!それ以上は言わないでー!!私のピュアハートちゃんを汚さないでくれっ!!」
一体何を言い出すんだコイツは!!乙女になんてことを!
もうダメだ…。
これ以上何を言っても千尋くんに勝てる気がしない。
仕方なく黙って千尋くんに抱かれることになった。