お嬢っ!!


千尋くんがぶつぶつ何か言ってるのを無視して、ソファーに深く腰掛けて部屋を見渡してみる。




昨日、初めて来た日はそんなこと考えられるほど冷静ではなかったからしっかりこの部屋を把握していなかった。







さっき入口のプレートでここは「第2音楽室」ということは理解した。



その通り、まだほんの少し輝きが残っているピアノに、落書きされてる音楽家の肖像画、しかしここには似合わない鉄パイプなどがあちらこちらに置いてある。






見る限り、もうこの教室は使われていなくこの不良軍団の秘密基地のようだ。






「あれ、そういえば羽琉くんは?」



今さらだけどあのキューティー羽琉くんの姿が見当たらないことに気づく。







羽琉くんに会うの楽しみにしてたのになあ…。





明らかにショボンとなる。





「ああ、羽琉ならもうすぐ来ると―――」




そんな私の姿を見て、慎一郎さんが教えてくれてる途中―――……











バンッ!!!








勢いよくドアが開いた。





< 73 / 76 >

この作品をシェア

pagetop