あおいの光
「それは、行かなきゃだめだよ。田口。」



先生は
そう言った。



「どうして?」



「…お父さんは、その相手の女性と同じかそれ以上に田口が大切なんだよ。」

「…うん。」

「だから…、君とその女性がうまく仲良くなってくれれば1番なんだよ。」

「…そんなの、勝手だよ。」



あたしだって

サユミさんに苦しめられた。


あたしだって
大切なパパとママが
仲良くしてくれたら1番なのに…



「勝手だけど…、でも田口にとっても悪い話じゃないよ。」


「…うん」



あれ以来、
ママは精神不安定に陥り、24時間完全看護の精神科に入れられている。
つまり、
自殺しないように見張りをつけられている。


あたしは
マンションに一人暮らし状態。




先生はそんなあたしを心配して言ってくれると
頭ではわかってる。


ママだって
お医者さんには
いつ退院するかわからないって言われてるし、


面会謝絶と言われ、お見舞いにも行けない。




希望がない。



もし、
あたしとサユミさんがうまくいけば、
あたしもしあわせになれる。



「でも…、あたしがもしサユミさんと仲良くなって家族になったら…。ママが可哀相。」




先生はあたしの肩にそっと手を乗せた。


「そうだね。」



そしてそれ以上なにも言わなかった。




先生の手の平から
先生の優しさが伝わる。



こんなに
大好きな先生。



もし、
先生が側にいてくれたら


あたし、
何もかも忘れて…

何もかも捨てて…



先生のためだけに生きていく。




大好きだよ。

先生。




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