あおいの光
青の見えない世界
先生が色弱?
なんだか、
実感がわかない。

「きっと田口のこの服もきれいな色なんだろうけど、オレにはわからない」

「先生。」

きっと
先生じゃない人なら
色弱って言われたって

「へぇ」


で終わるんだろうけど。

先生は笑いながら
色弱だっていった。

でも、あたしには
目がものすごく悲しい。

あたしは直感で、
先生がこの色弱のせいで何かをあきらめたり、嫌な思いしてきたんだってわかった。

「先生、笑ってるけど嫌なことだってあったんでしょ?」
「田口にはかなわないなぁ・・・」

あたしの目に見えている色は先生には見えない。
色のない世界に住む先生が悲しくて。

「でも、わたるに遺伝しなくてよかったよ。男の子に多いらしいんだ。あと、一緒に住んでないけど娘がもう一人いるんだ。彼女にも遺伝しなかった。だから、いいんだよ。」
「そうなんですか?」

そうこうしている間に、わたるが来た。
わたるのジャージは青だった。

先生、わたるのジャージのいろ、知らないんじゃなくって見えないんだ。
そっかぁ。

わたるは、
「あおい!」
そうあたしを呼んだ。
そして、隣の父の姿を見て、

「父さん・・・なんであおいと?」
「あたしが頼んだんだ。わたるの試合見たことないからって」
「ふーん」


わたるは
いじけてる。


あたしにはすぐわかる。


先生もわかってるから笑ってる。
先生の大事な息子。

自分に似なくてよかったって
悲しくきこえるけど
あったかい言葉だね。




「あおい。父さん。第四試合だからね!」
わたるはそう言い残して、スタンドから控室にもどって行った。



「わたるには、好きなことをしてほしいんだ。バスケが好きで、アメリカに行ってみたいなんて言ってたなぁ」


「へえ?留学ですか?」
「知らないけどなぁ。」


先生はとぼけて言った。
でも、
調べまくったって顔に書いてる。




「俺、この障害のせいで夢がこわれたからなぁ」


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