あおいの光
帰路
わたるからメールが来た。

「まさか見に来てくれるとおもわなかった」


いつも、
文末には顔文字や絵文字が入っているけど、
今日は違った。


驚いているのか、喜んでいるのか

それとも両方?

それとも両方ちがう?


あたしはメールをすぐには返せなかった。


そして、
10分ほど時間を置いてから返事をした。


『わたる。かっこよかったよ。わたるが学校で有名な理由もわかったし、せんせいも屋楽しそうに見てたよ』


無難。


あたし、逃げてる?


やっぱりわたるに今日行くことを言うべきだった。

先生と見に行くって不自然なのかなぁ・・・


あたしはいろいろと考えて、
自分のずるさに嫌気が指した。

あたし、
先生が好きなくせに
わたるもはなしたくない。


わたるは
有名人で、かっこよくて、あたしを愛してくれる。


そして、なにより
先生の息子。


そばにいたら、
先生とずっと一緒にいられる気がした。

そして、あたしは
そんな自分が、

なんの後ろめたさももたずにいることに

驚きと、かなりの嫌悪感を抱いていた。



そして、こんな気持ちのクセに
せんせいのことを少しずつ知っていって

ますます
惹かれていることに気づかされた。

最初は
ただの憧れだったの。

父に少し似た、
やさしい雰囲気が好きだっただけなのに・・・・
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