あおいの光
それから先は地獄だった。

母は毎日父を汚い言葉で罵った。

しかしその罵詈雑言を
無表情で甘んじて飲み込む父を

オレは見てるのも辛かった。


「父さんと母さん、離婚することになった」

「ごめんね。わたる。母さん、瑠菜が退院したら瑠菜連れてローマの大学に移ることにしたから…」

オレは安堵した。

母の罵詈雑言も
父の無表情も

瑠菜の見舞いに行く勇気も出ない自分とも

向き合わなくてすむ。


両親が離婚してから、
オレと父の生活は一変した。

もちろん、よい方向に。


母と瑠菜のことには蓋をした。


< 50 / 66 >

この作品をシェア

pagetop