あおいの光
あたしはわたるの話を聞くだけに留め、
なにも問わないことにした。

天使のような瑠菜。

あの子は素直で疑うこともなにも知らなかった。

だけど、ローマでピアノにしか心を開かない子になってしまった。


でも・・・
もっとかわいそうなのはわたる。

たったひとりの母と妹を失う結果になってしまった。



先生・・・

先生はこんな傷を抱えていたんだね。

あたしはそんな先生の影を少しでも請け負うことができないだろうか。


わたるの腕に抱かれて眠る間も
あたしは先生のことばかり考えていた。




あたしとわたるの夏休みは
こうして終わった。





< 51 / 66 >

この作品をシェア

pagetop