あおいの光
「大丈夫だよ、パパ。るなも音大以外無理だから。」

「そうか。きめてるなら、もういいだろう?」
「るなが迷ってるのは、日本に戻るかどうかってこと」

「日本に?」

あたしは不思議に思った。
音楽をやる環境って、日本よりヨーロッパのほうがずっといいんじゃ・・・

「ママは反対すると思うけど。るなはそろそろ、わたると一緒に暮らしたいの」

「え・・・?」


先生の表情が一瞬曇った。

「パパ、そんな顔しないでよ。るなとわたる、ママのお腹にいるときから一緒だったんだよ?離れてるほうがおかしいの。なのにもう2年も離れてる。気がおかしくなりそう・・・」


「瑠菜。でも、いつかは二人は離れて暮らさなきゃならないんだぞ。進む道も、別だし、結婚してお互い別な家庭ももたなきゃならない。」

「パパ、何言ってるの?るなもわたるも結婚なんてしないよ。だって、兄妹では結婚できないんでしょ?」


「瑠菜ちゃん・・・」


先生はうつむいた。
そして、あたしに帰るように促した。


「あたし、帰るね。」
「うん。またね、あおいちゃん!」


瑠菜は病気だ。
あたしは確信した。

帰国の意味も同時に知った。

あたしだ。


わたるをとった女。

あたしをそういう目で見てる。

取り返しにきた。
信じられない。

瑠菜は本当にわたるがすきなんだ。




< 54 / 66 >

この作品をシェア

pagetop