あおいの光
ずるい。

ずるいよ瑠菜。



「瑠菜、今、そんなこと言わなくてもいいじゃないか。ゆっくり考えよう。まだ、1年半も先の話だよ」

「ん・・・・でも、もう大学の目星つけときたくて」
「そうだね。」




あたし、蚊帳の外だった。

そもそも、わたるもあたしを呼ぶ予定じゃなかったのかも。
あたしが会いたいって言ったから・・・。



「今日は、あたし、お呼びじゃなかったみたい」

「え・・・ゴメン。あおいちゃん、そんなつもりじゃないのに・・・」



瑠菜は大きな瞳を潤ませた。

ずるい


コレじゃ、あたしがわがまま言ってわたるを困らせてるみたいじゃない・・・。



「こっちこそごめん。るなちゃん・・・。」




「あおい?」
「わたる、るなちゃんと大学めぐりする予定なんでしょ?あたしもう大学は決めてるから興味ないしね。今日は、遠慮しとくね。」



「・・・さすが、と、いうべきなのかな?」


「うん、そうだよ、わたる。パパが医学部以外の進路はありえないってあおいちゃんのこと言ってたよ。」


「医学部・・・」



わたるは驚いてた。


そうよね。
あたし、進路のことわたるにはなしたことないもの。



先生。
先生には幾度となく話した。



あたし
精神科医になって
ママを治したいって


そしたら先生
優秀な精神科医を排出してる大学を教えてくれた。



その大学に行くって決めた。


そしたらわたるとは離れることになるだろう。


でも、あたしはそんなこと全然微塵も考えたことはなくて
でも、瑠菜ちゃんはわたるのそばにいるために進路を大きく変えようとしてる。



「あおいって、父さんの言うとおり、ほんとに頭いいんだね」

あたしは
わたるのその微妙なほめ言葉に黙って笑顔でうなづいた。

そして、その場を去った。



あたしはもう、そのとき一人の男性のことしか考えてなかった。

その人の下へ
かけていくことしか考えてなかった。


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