ガラスの靴
崩れ行く日常
雲一つない空はどこまでも高く追いつくことを許さない。

ドキドキという鼓動と前へ前へと進む足音。
一人でいろいろなことを考えながら走り去る風景を眺めひたすら走る。
体育の授業で一番持久走が好きだ。


「由香里!」

流れ出る汗をタオルで拭いていると恵理が駆け寄ってきた。

恵理は色白でストレートの髪が可愛らしい。
由香里の一番の親友だ。


「お疲れ~!戻ってくるの早かったね」

そう言って恵理は自分の手に息を吹きかけた。

「寒いなら一緒に走れば良かったのに」

「やだぁ。恵理、疲れるの嫌いだもん」

恵理に私は言葉を返さなかった。
言っても無駄だから。


恵理は毎年持久走の授業に参加せず、大会のみに参加している。
中学最後の今回もそのつもりだろう。

成績で"1"を貰わないために最低限で済ませる。
それが彼女のモットーだ。
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