見えない二人の距離
はぁ…ったく
「じゃあ…」
オレは渡された袋を受け取った。
「あっありがと!」
「いいなぁ…おまえばっかずりぃよ」
今までなにも言わなかった拓が口を尖らせながら言ってきた。
オレだって貰いたかねぇよ。
「あたし、行くね!純平くんありがと」
女は満足そうに教室を去って行った。
なんだか、疲れた。
あんな女は初めてで、今までの女はああ言えばすぐ去って行ったから。
「…ありえね」
「オレが貰ってやろうか?」
さっきのヘラヘラした拓はもういない。
その代わり、いつもの拓が隣にいる。