見えない二人の距離
ウワサはあっという間に広まり、それは他学年にも伝わっていた。
《純平先輩、仲尾先輩と付き合っちゃったんだってぇ》
《やっぱ美羽ちゃんは純平とくっついたのかぁ~》
廊下を通る度に聞こえるうざい声。
朝からのイライラは爆発寸前。
「ジュン、顔怖い」
「あ?」
移動教室の帰り、隣で歩いていた拓の顔がひきつっている。
どいつもこいつも
コソコソうるせぇっつーの。
まじで、怒鳴ってやりたい気分でオレは完全に頭に血がのぼってた。