見えない二人の距離


澪がなにを言いたいのか、なんとなく分かる。


だけど、そんな自分が今は異常にやだ。



「たっくん、次の授業なに」


おい、オレの質問はシカトかよ。


オレから視線を外すこともなく、澪の言葉は拓に向けられた。



「え…あ、古典です」


いつもと様子の違う澪に、驚いている拓。


「なら、いいよね」


は?


拓に言ったのか、オレに言ったのか
澪が呟いた。


そして、その瞬間にオレの腕を掴んできた。




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