見えない二人の距離
「ちょっ!なんだよ」
「たっくん、純平は具合悪くて次の授業保健室って言っといてね」
は?
なに言ってんだこいつ。
「了解っす」
おまえも、了解っすじゃねぇよ!
「おい、澪!おまえなに考えてんだよ」
「………」
ってまたシカトかよ。
オレの腕を引っ張りながらズカズカと進んで行く。
さっきまでコソコソしてた奴らも、澪の威勢に面白いくらいに避けていく。
なぁ、彼氏に見られたらどうすんだよ。
オレより小さい体で、ありったけの力で腕を引っ張る澪の背中を見て
なんだか切なくなった。