見えない二人の距離


いつもと違い、鋭い澪の瞳がオレを捕らえる。


「ウワサは本当なの?」


ほらな。

それが、おまえが怒ってる理由だろ?



「本当だったら?」


「ちゃんと答えてよ!」



なんでそんな怒るんだよ。


おまえが、美羽を嫌いだからか?



「ホント」



オレの言葉を聞いた澪は、顔を歪めた。


今にも泣きそうな顔で

傷付いたような顔をして



「オレ、美羽と付き合うことになったから」


「……っ…」




そして、オレが初めて澪を泣かせた。





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