見えない二人の距離
ここで出ていって殴ることもできる。
だけど、そんなことをしても澪が泣くのは分かりきっていた。
「…じゃあまた考えるよ」
「もういいから。つうかおせぇし」
「………」
「じゃあもういい?オレ、行くから」
ガタッと乱暴な音がして、アイツが教室の方に向かったのが見えた。
澪は……
「…っ…」
泣くのを我慢してるのか、小さな声が聞こえてくる。
オレが出ていって抱きしめてやりたい。
そう思っても、オレは臆病者で
そんなことをすれば澪にもっと避けられる気がした。